サービス産業は今や日本経済のGDPの4分の3を占めるまでに成長している。また，製造業や流通業においても、競合他社と差別化し、製品に付加価値を高めるために顧客へのサービスを組み合わせるアプローチが提唱されている。しかしながら、サービスは労働集約的で効率性が低いとか、旧態依然の属人的な接客から脱していないという指摘も多く、わが国の成長戦略のためにはサービスの一層の生産性の向上が急務となっている。サービスの生産性向上のためには、サービスに科学的手法を導入してコスト削減を行うという方向性と、サービスによってもたらされる顧客満足を上げていくという、両方の方向性がめざされている。
「サービス・イノベーション」とは、サービスの生産性を上げることのみならず、真の顧客満足を実現するサービスの革新を指す。具体的には、サービス業務自体を可視化して測定し、生産性・効率性を上げるためにサービス業務の再設計を行うこと、あるいは新技術利用により、サービス産業において新規事業開発を行っていくことを指し、これらがサービス業界を底上げし、サービス化を促進していくものとして期待されている。
　本シンポジウムでは、ホテルと飲食業界において、低価格を実現するオペレーションを行いながら、高い顧客満足を得ている企業のトップマネジメントにご登壇いただく。低価格を訴求するビジネスでは、一人ひとりの顧客にカスタマイズすることが難しいために、高い満足度を実現することは一般に難しいとされている。また、ながらく続いたデフレ環境の中で低価格訴求の業種や業界は競争も激しい。そのようななかで革新的なサービス設計を行うことで成長し、高い顧客満足を実現してきた企業の実例をもとに、サービス・イノベーションを実現させるための要件をディスカッションしたい。

<第Ⅰ部>　基調講演

13：30～13：35　挨　拶：水谷文俊　　（神戸大学大学院経営学研究科長　教授）

13：35～13：50　解　題：南　知惠子　　（神戸大学大学院経営学研究科　教授）

13：50～14：50　ご講演：山本梁介　氏　（株式会社スーパーホテル　会長）

14：50～15：50　ご講演：加藤智治　氏　（株式会社あきんどスシロー　取締役専務執行役員　COO）

～～　休憩　～～

<第Ⅱ部>　パネルディスカッション

16：10～17：30

パネリスト：

山本梁介　氏

加藤智治　氏

南　知惠子

司　会：

高嶋克義（神戸大学大学院経営学研究科　教授