過去の開催記録

第49回ワークショップ

経営力はどのようにして身につくものなのか

日  時
2005年3月5日(土) 13:30〜17:00
場  所

神戸大学大学院経営学研究科 206教室

参 加 費

概 要

いま日本で、あらためて経営者の重要性がクローズアップされています。その背景には、一人の経営者のもとで、長らく一流と目されてきた企業があれよあれよと言う間に瓦解したり、経営不振から一気に復活を遂げたりという現実があることは間違いないでしょう。日本では現場やミドルが会社を支えるのだというパラダイムがずっと支配的でしたが、ここに来て大きく潮流がシフトしているという観すらあるのではないでしょうか。

ここで問うべきは、企業の命運を切り分ける経営者の資質です。社長や事業経営責任者という経営職の地位に就きながら成果を上げることのできない人と、地位に付随する権限を存分に活かした上で目覚ましい成果を上げる人の間では、どこがどう違うというのでしょうか。違いは生まれにあるのでしょうか。それとも育ちにあるのでしょうか。はたまた仕事をするようになってからの経験にあるのでしょうか。一口に経験と言っても、いつの時期におけるどんなアサインメントが効くのでしょうか。

これは、単なる興味半分の問いではありません。経営者が企業の命運を決定的に左右するのであれば、企業としては多数の社員の人生を託すことになる経営者の候補生を、慎重に選び出したり、育成したりすることは当然の営為になるはずです。選ぶにせよ、育てるにせよ、優秀な経営者が一朝一夕に出現するものではない限り、時間のかかる経営力の形成過程を深く理解することなしには何も始まりません。それは、自ら経営者の道を志す人にとっても同じことでしょう。また、MBAに代表される経営教育が日本にも根付いてきていますが、どんな教育プログラムも経営力の形成過程に関して何らかの前提を置くことになっています。

こうした問題意識に基づいて、今回のワークショップでは経営力の形成過程をテーマとして取り上げます。当日は、私自身の経営者観の形成にも大きく関与した方々をお招きして、自らの経営力の形成過程を彼らがどのように見ているのか、自由闊達に議論していただくつもりです。企業内において幹部社員の人事や教育に携わる方々、自ら経営職を志す方々、経営をするということ自体に関心を抱く方々をはじめとして、広く参加を募ります。

現代経営学研究所第49回ワークショップは、「経営力はどのようにして身につくものなのか」というテーマのもとに、去る3月5日に100名以上の来場者を迎えて開催されました。当日は業種も経歴も世代も大きく異なる3名の経営者に自らの軌跡をご紹介いただきましたが、会場の聴衆は3名の相違点よりも共通点に反応するという極めて興味深い展開となりました。この講演と討議の内容は『ビジネス・インサイト』50号に掲載する予定です。吉原英樹教授と田中一弘助教授の書き下ろし論文を新たに加えまして、皆様の洞察が一層深まる特集となるよう願っております。

プログラム

13:30-13:45 問題提起
三品 和広(神戸大学大学院 経営学研究科教授)

13:45-14:30 基調講演
船田 昌興(三菱化学株式会社 代表取締役副社長)

14:30-15:00 講 演 二
矢崎 和彦(株式会社フェリシモ 代表取締役社長)

15:00-15:30 講 演 三
高乗 正行(株式会社チップワンストップ 代表取締役社長)

15:30-15:50  コーヒーブレイク

15:50-17:00  パネル討論
〈司会〉三品 和広(神戸大学大学院 経営学研究科教授)