過去の開催記録

第60回ワークショップ

会社の評判 『良い会社』と呼ばれる企業はここが違う

日  時
2007年11月18日(日) 13:30〜17:00
場  所

神戸大学大学院経営学研究科 本館102教室

参 加 費

概 要

 このワークショップでは、経済・経営分野を一貫してウオッチしてきた「日本経済新聞」の特別編集委員、前「週刊東洋経済」編集長、かつて、プロ野球選手としてドラフト指名されたことがあり、現在、高校野球の解説者としても知られる「松下電器産業」の広報担当役員、といった方々を東京から招き、「会社の評判は、どのようにして形成されるのか」という課題について徹底的に議論します。 

 「会社の評判」に大きな影響を及ぼしているマスコミのジャーナリストと企業広報マンの本音を知る、またとない機会になることでしょう。 

 「会社の評判」は、業績によって決まると言いたいところですが、それだけで決まっているわけではありません。空気のような存在が、「会社の評判」を左右しています。マスコミが発信する内容もその一つです。中には、事実と思われるが「真実ではない情報」もあります。ところが、「事実と思われる情報」が世の中を動かしているのです。 

 企業経営において、「事実と思われる情報」は無視できません。「CEO-COO制」、「カンパニー制」、「執行役員制」、「株主重視経営」などといった「キーワード」が経営者の心を揺るがし、一時、ブームになりました。横並びと揶揄される日本企業において、マスコミが発信する情報が経営者を右往左往させます。従業員の士気を高めたり、低下させたりします。消費者の選択や株主の意思決定に影響を及ぼすだけでなく、新入社員の採用でも「会社の評判」が良いか悪いかで応募者数が変動しかねません。 

 近年、インターネットが大きな影響力を持ち始めました。新しい形の「口コミ」として、さまざまなところで「評判」を形成しています。たとえば、ある企業の社員が、内部告発と思われる情報を発信しています。それを読んで、事実と思う人は多いことでしょう。事実と思わなくても何がしかの心理的影響を受けているのではないでしょうか。その意味では、「納得性」があると言えます。ただし、「信頼性」となると疑問が残ります。この点、マスコミは大きな影響力を持つ「信頼性」を背景に、人々の「納得性」を高めています。

 「会社の評判」というテーマで、これほどの豪華メンバーが登場するワークショップを、関西で視聴するチャンスは、まず、ないでしょう。皆様方のご参加を期待しております。

 第60回ワークショップは、「会社の評判」というタイトルで、11月18日に開催されました。
 ゲストとして、鍛治舍 巧 氏(松下電器産業・役員 コーポレートコミュニケーション/CSR担当)、森 一夫氏(日本経済新聞社・特別編集委員兼論説委員)、山縣 裕一郎氏(東洋経済新報社・取締役第一編集局長、元「週刊 東洋経済」編集長)をお呼びしました。
 まず、当研究科の長田貴仁(准教授)が『誰が、何が、「会社の評判」を決めるのか』というテーマで、「お母さんが、息子や娘に話す『いい会社』とは」、「数字だけでは説明できない会社の姿」、「真実ではなく事実が世の中を動かす」と問題提起を行いました。
 続いて、鍛治舍 氏が「コーポレートコミュニケーションの本質—本当の姿を知ってもらうためには何をすべきか—」、森氏が「トップが決める会社の評判」、そして、山縣氏が「難度高まる会社の評判づくり」について講演されました。その後、3氏が話された内容についてフロアから多くの質問が寄せられました。
 そして後半のパネル討議では、「会社の評判」に大きな影響を及ぼしているビジネス・ジャーナリズムと、今後「会社の信用」を高める上で不可欠とされるCSR(企業の社会的貢献)について議論が盛り上がりました。特に現在もマスコミの現場で活躍されているハイエンドなジャーナリストと広報・ CSRに熱心な企業の役員との議論からは、認識の違いや本音が漏れ、普段、新聞や雑誌を読んでいるだけでは分からない「事実」が垣間見られました。

プログラム

問題提起 「会社の評判」とは何か
長田 貴仁(神戸大学大学院経営学研究科 准教授)

講演(1) コーポレートコミュニケーションの本質
「本当の姿」を知ってもらうためには何をすべきか

鍛治舍 巧 氏
(松下電器産業・役員 コーポレートコミュニケーション/CSR担当)

講演(2) トップが決める会社の評判
森 一夫 氏
(日本経済新聞社・特別編集委員兼論説委員)

講演(3) 難度高まる「会社の評判」作り
山縣 裕一郎 氏
(東洋経済新報社・取締役第一編集局長
元「週刊 東洋経済」編集長)

コーヒーブレイク

パネル討議 マスコミが描く「会社と経営者」
ビジネス・ジャーナリズムと広報の
「第一人者」が本音を語る

〈司会〉長田 貴仁
〈パネラー〉
鍛治舍 巧 氏
森 一夫 氏
山縣 裕一郎 氏