過去の開催記録
ストラテジー・マップは戦略志向組織への変革を加速するか
- 日 時
- 2004年6月26日(土) 13:30〜17:00
- 場 所
神戸大学大学院経営学研究科 102教室
- 参 加 費
概 要
日本企業は、卓越したオペレーションの仕組みを創造し、あるいは徹底して業務の効率化を図ることで、国際的な競争優位性を獲得・維持してきた。その一方で、明確な戦略を持たず、また戦略的に物事を思考する文化や風土そのものが醸成されていないのも、日本の企業組織の特徴とも言われてきた。ストラテジー・マップは、その作成プロセスとそれに続く運用プロセスを通じて組織構成員の意識変革を促し、前述の組織をまさに戦略志向組織へと変革させる触媒として期待されている。
ストラテジー・マップとは、バランスト・スコアカード(BSC)における「財務」「顧客」「業務プロセス」及び「学習・成長」の四つの視点の因果連鎖を、視覚的に分かり易く整理して描いたもので、戦略を体系的に吟味することを可能にする。このマップを描くことにより、組織の構成員は自らの仕事と組織全体の目標との結び付きを容易に認識することができる。また、各視点における戦略目標の因果連鎖に不備があるかどうかも明らかとなり、早期是正が可能になると言われる。
ストラテジー・マップは、もともとバランスト・スコアカード実践をサポートするツールの一つとして登場したが、昨今ではすっかり主役の座に踊り出た感がある。実際、欧米はもちろん、わが国においてもその普及の勢いは相当なもので、なかにはバランスト・スコアカードは導入せず、ストラテジー・マップのみを活用している企業もあるほどである。ストラテジー・マップがこれほど注目されるのは、何よりその原理が単純であることに加えて、わが国の品質管理の代表的な手法の一つである連関図に共通する構造とロジックを持つことが背景にあると考えられる。
ただし、一方において、ストラテジー・マップさえ描けば、戦略が実現できるような錯覚に陥り、その後のマネジメントに十分な努力が払われなくなるといったマイナス面も指摘されている。わが国企業が国際的競争優位性を再獲得する上で、戦略思考組織への脱皮は不可欠の条件であるが、果たしてストラテジー・マップは、かかる革新を加速する起爆剤となり得るか。本ワークショップでは、複数のストラテジー・マップ導入企業の実務担当者を交えて多面的な視角から検討を試みることにしたい。
現代経営学研究所第46回ワークショップは、「ストラテジーマップは戦略志向組織への変革を加速するか」というテーマのもと、去る6月26日に開催されました。会員、非会員にかかわらず、多数の方々にご参加いただきありがとうございました。実務家、研究者の立場から活発な討議が行なわれましたが、この講演及びパネルデイスカッションの内容は『ビジネス・インサイト』47号に記載されます。同誌掲載の研究論文とともに皆様のこの分野におけるご関心、ご理解が一層深まる契機となりますよう願っております。
プログラム
13:30-13:55 問題提起
伊藤 嘉博(神戸大学大学院 経営学研究科教授)
13:55-14:30 基調講演
長谷川 惠一(早稲田大学 商学部 教授)
14:30-15:05 講演
高橋 義郎(日本フィリップス株式会社 経営品質部部長)
15:05-15:40 講演
林 茂信(関西電力株式会社 総務室庶務グループマネジャー)
15:40-16:00 講演
清水 隆(関西電力株式会社 企画室業務グループ)
15:40-16:00 コーヒーブレイク
16:00-17:00 パネル討論
〈司会〉伊藤 嘉博(神戸大学大学院 経営学研究科教授)