過去の開催記録
技術マネジメントの新潮流
- 日 時
- 2009年3月8日(日) 13:30〜17:00
- 場 所
神戸大学経営学研究科本館206教室
- 参 加 費
概 要
技術マネジメントの成否が企業の競争優位に大きな影響を与えることは周知の事実となっています。しかしながら、望ましい技術マネジメントとはいかなるものなのか、という点については、多くの企業が暗中模索の状態であり、自社の情報は明かせないけれども、他社の動向については色々と勉強したいと考えている経営者、ビジネスパーソンは非常に多いのではないでしょうか。元来、技術マネジメントに関する情報は、外部に情報開示したくない秘匿事項であり、このことがベストプラクティスの共有化を困難なものにしてきました。今回のワークショップでは、このような限界があるなかで、できるかぎり技術マネジメントのベストプラクティスの実態について情報共有し、自社にとっての望ましい技術マネジメントのあり方について認識を新たにする機会の提供を目的としています。技術マネジメントは、非常に不確実性の高い状況のなかで意思決定をしていくことが求められ、なおかつ成功確率がきわめて低い点に特徴があります。この点が、生産管理や人的資源管理などその他の領域におけるマネジメントと決定的に異なっています。技術マネジメントとは、不確実性のマネジメントでもあり、失敗・リスクに対するマネジメントでもあります。しかしながら、従来の技術マネジメント論は、どちらかといえば成功を前提としたものであり、失敗するのは何らかの合理性の欠如があったからである、という論調が多いように感じられます。けれども、不確実性の高いなかでは、失敗するのは必ずしも合理性の欠如が原因ではなく、むしろ確率過程の帰結として失敗は不可避なものとなります。そのようななかで「合理的」に技術を管理していくにはどのような「合理性」が問われるのでしょうか?
このワークショップでは、パナソニック、シャープ、住友スリーエム、三菱電機という製品開発に実績があり、なおかつ独自の技術マネジメントを実践されている企業の現場での研究開発責任者の方々をお招きし、いかにして技術という不確実なものを管理していくべきなのかについて考えていきたいと思います。具体的には、ステージゲート法(SG法)、緊急プロジェクト制度、15%ルールなど、各社独自の取り組みについて、その長所、短所を含めて実体験をご報告いただき、そのうえで全体討議を行う予定です。これらの技術マネジメントの手法については、すでに多くのビジネス書等で解説されています。しかし、その大半はいわゆるベキ論、きれい事に終始しており、現実にはそれらの手法がどのような問題点をもっているのか、その問題を克服するためには、いかなる軌道修正が必要なのか、といった情報はほとんど提供されていません。このワークショップでは、現場でこれらの手法を実際に活用されている研究開発管理者の方々の本音を引き出し、その光と影を明らかにしたいと思っています。
プログラム
13:30−13:40 問題提起
原田 勉 (神戸大学大学院経営学研究科 教授)
13:40−14:10 実態報告1
楠見 雄規 氏(パナソニック株式会社
コーポレートR&D戦略室 室長・産学連携推進センター所長)
14:10−14:40 実態報告2
米田 旬 氏(シャープ株式会社 研究開発本部総合技術企画室 室長)
14:40−15:00 コーヒーブレイク
15:00−15:30 実態報告3
大久保 孝俊 氏(住友スリーエム株式会社 技術担当執行役員)
15:30−16:00 実態報告4
山田 直志 氏(三菱電機株式会社 先端技術総合研究所・開発戦略部長)
16:00−17:00 パネルディスカッションおよび質疑応答(途中休憩あり)