過去の開催記録

第56回ワークショップ

小売業のSCMとB2B −本質と課題−

日  時
2006年12月16日(土) 13:30〜17:00
場  所

神戸大学大学院経営学研究科 本館306教室

参 加 費

概 要

「サプライチェーン・マネジメントで見えるようになって、在庫は少し減ったかな」という声はよく耳にします。「手間、ひま、金がかかっているので、もっと効果がでないものか」というため息もでているようです。SCMの考え方自体にはさまざまなルーツがあるのですが、この言葉が使われるようになったのは、1990年代の初頭で、ITを有効利用した、根本的なビジネスプロセスの再構築を指すものであったと思います。初期の成功事例としては、Wal-MartとP&GのECR、デルの直販モデルなどがよく挙がりますが、この頃では、成功例は数えるほどしかありませんでした。しかしながら、2000年を過ぎたあたりで、SCMを支える基盤情報システムの整備・普及も進み、SCMにおけるB2Bとコラボレーションの重要性も認識されるようになり、成功例もフラストレーションとともに増えてきました。その意味で、今、SCMのイントロ段階は完結し、本質を見直し、もっと効果を出す段階に来ているように思います。

SCMが製造業者から小売業を経て顧客を結ぶサプライチェーン上のビジネスプロセスを統括的に管理するものであれば、従来のビジネス方法とは違った、飛躍的な効果が期待されるものであるはずです。本ワークショップでは、小売業と製造業のコラボーレーションに視点を据え、SCMとB2Bの本質とは何かを確認します。さらに、SCMで、もっと何とかできるはずなので、しないといけない課題を議論したいと思います。eマーケットプレース、調達のグローバル化、データの標準化、ICタグ、サステイナビリティ等と、SCMで未消化の新旧コンセプトも目白押しの状態です。

今回のワークショップは、SCMと調達に関与する、小売業、製造業、ITコンサルタントの方を対象とし、日本における小売業のSCMの発展に当初から寄与されてきた先導的実務家の方に来ていただき、SCMとB2Bの本質と課題を、聴衆の参加も求めて、議論していきたいと思います。小売業からは、イオンのB2B構築を主導されてきた澤田彰浩氏、製造業からは、P&GにおけるECRネットワーキングの統括者の楢村文信氏、ITコンサルティングからは、日経文庫の「サプライチェーン経営入門」でも著名な野村総合研究所の藤野直明氏を迎えます。また、最近、INSEADでPh.D.を取得された、国際大学の島田智明氏にも参加していただき、アカデミックからの最新の観点も注入していただきます。 SCMあるいは調達でお悩みの方は、是非とも参加してください。小売業とグローサリー産業の製造業に限らず、家電・ハイテク産業の方にも有益な視点が出ると期待しています。パネルディスカッションでは、聴衆からの有意義と思われる質問には上記の方に議論していただきますので、明確な問題意識を持った方の参加は特に歓迎いたします。

現代経営学研究所第56回ワークショップは、「小売業のSCMとB2B:本質と課題」というテーマのもとに、去る12月16日に開催されました。会員・非会員を問わず、多数の方々に参加いただきましたことを、厚く御礼申し上げます。今回は、小売業のSCMとB2Bにおいて主導的な役割を果たしてこられた先進的実務家の3氏をお招きしました。小売業の調達の視点からイオンの澤田氏、製造業からはP&Gの楢村氏、コンサルティングからは野村総合研究所の工藤氏に、SCMとB2Bにおけるこれまでの成果、問題点、課題の洗い出しをしていただきました。また、最近INSEADで学位をとられた国際大学の島田氏からは、リサイクリングのサプライチェーンの動向についてのお話をいただきました。あまりにも盛りだくさんの内容になりましたので、パネルディスカッションでは、成果、問題点、課題で特に注目しないといけない点を発表者の皆様にまとめていただきました。この講演の概要と討議の内容は、『ビジネス・インサイト』57号に掲載する予定です。SCMとB2Bの分野は成功例も蓄積されております。その本質を見失わずに、問題点と課題をはっきり認識した上で、取り組まれることを願っております。

プログラム

問題提起
松尾 博文
(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

基調講演
楢村 文信
(P&Gジャパン株式会社
CBD/営業統括本部 トレード&インダストリー・リレーションズ・マネージャー )

基調講演
澤田 彰浩
(イオン株式会社 B2B推進部部長)

基調講演
工藤 憲一
(株式会社野村総合研究所
経営ITイノベーションセンター サービス・産業ITイノベーション推進部
コンサルティンググループ)

コーヒーブレイク

パネルディスカッション
司会:松尾 博文(神戸大学大学院経営学研究科 教授)