阪神淡路大震災を経験した私たちは、『季刊ビジネス・インサイト』第10号を震災特集号として発行しました。これに加えて、震災からの復興についてさまざまな観点からの活動に従事しております。これらの活動は、単に被災した地域の復興だけではなく、超円高の定着による空洞化の進展、産業の成熟化、規制緩和などに直面しているわが国の企業の課題を克服する試みとして、今後の日本の進路を決定するためのフロンティア事業として大きな意義を有しているといえるでしょう。 私たちは現状からの脱却とさらなる経済発展の鍵は、旺盛な企業家精神に満ち溢れた起業家（大企業内の社内起業家や学生を含む起業家予備軍を含む）による革新的な取り組みにあると考えています。神戸大学経営学部のビジネス・スクールにおいても、その重要性に鑑み、次年度に「新規事業開発」をテーマとして社会人大学院生の募集を始めております。 ベンチャー・スピリットの高揚、社内ベンチャーの立ち上げとマネジメント、新規事業プランの作成、起業家の発掘と訓練、行政支援のあり方などの検討を通じて新ビジネス創造の条件を深く考察すべき時期を迎えています。無策のまま現状を受け入れ、対症療法を繰り返すだけでは、日本経済のさらなる発展はありません。今こそ、真のベンチャー・スピリットが必要なのです。