第29巻 第2号(No.114 Summer 2021)
特集
顧客価値を起点にしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
黄 磷(神戸大学大学院経営学研究科 教授)
第104回ワークショップ
第13回加護野忠男論文賞
講評 加護野忠男
金賞 髙津亜弓
銀賞 松岡佑季
銅賞 塩尻晋也
トップ・インタビュー
正しいことを伝える、姿勢を見せる
石坂典子(石坂産業株式会社 代表取締役)
プロフェッショナルの仕事術
パートナーと共に未来へ躍進する
村上研介(株式会社ONO plus)
MBA Cafeに集まろう
インフォメーション
▶編集後記
経営フロントライン
物事がうまくいかなかった時のために
経営の問題に限らず、物事は思い通りにいかないものだ。あらゆる状況を想定し、十分な準備のもとで、意思決定を行ったにもかかわらず、その通りに事が運ばないことはしばしば起きる。特に、重大な責任を伴うような意思決定がうまくいかなかった場合には、色々と思い悩むことは多い。この決断は正しかったか、情報収集は十分だったか、甘い見通しではなかったか、等々。
しかし、このような経験は、後で「これは貴重な学びの機会であった」と、前向きな気持ちに思えるようにもなる。ただ、このような心境になるには条件がある。それは、私利を抑えて、全力でその問題に取り組むということだ。本当に真剣にその問題に取り組まないと、うまくいかなかった場合には後悔が多く、本当の教訓は得られない。
また、結果がうまくいくようにと小手先の策に走ったりすると、言い訳や自己防衛やら邪な心がもたげてくる。重大な決断をする時は、本当に孤独であり、責任も非常に重い。私利の気持ちを抑え、結果に執着せず、全力で取り組む姿勢が大切である。そして、いかにそういった心境で取り組むことができるかが重要だ。
最後に、ある宗教哲学者の祈りを紹介しておこう。「変えられないものを受け入れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気、そして両者を見分ける叡知を私にお与えください。」