過去の開催記録

第59回ワークショップ

『"強い"経営企画部門』のつくり方

日  時
2007年9月16日(日) 13:30〜17:00
場  所

神戸大学大学院経営学研究科 本館206教室

参 加 費

概 要

 組織の中には、それぞれの業務を果たす部門が存在します。でも、業務内容や業務の進め方はだれがいったいいつどのようにして決定したのでしょうか。また、それらの変更は、どのような理由に基づいて、どのように行われているのでしょうか。業務内容が比較的明確な部門、例えば、人事部や製造部であっても、その業務内容は企業間で共通であるとはいえません。新卒者採用、ホワイトカラーの人事異動などの業務は人事部に共通していますが、海外子会社の現地人社長の選出、目標管理システムや報償システムの設計、工場人事などは、すべての会社の人事部が担当しているわけでもないようです。また、製造部門において、購買業務、開発業務、環境配慮業務、品質保証業務を担当する企業もあれば、そうでない企業もあります。組織部門にどのような機能を担当してもらい、部門間に共通する業務をどのように遂行すればよいかは、普段、それほど真剣に考えない問題ですが、実は企業業績に大きな影響をもつといえるでしょう。 

 このような問題意識に基づき、今回のワークショップでは、企業によってその業務内容に大きな違いのある経営企画部門に注目し、経営企画部門の強化方法をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。 

 まず、日本独自だといわれる経営企画部門が歴史的にどのようにして生まれ、どのように発展してきたかを明らかにします。そして、昨年度、神戸大学が実施した「経営企画部門実態調査」結果のエッセンスをお知らせします。調査結果に基づくと、①経営企画部門は約10程度の少数精鋭部門である、②経営企画部門長経験者の過半数は役員に昇進する(100%昇進するという企業は35%)、②その業務内容は、企業の戦略経営スタッフとして経営戦略・利益計画・予算の策定業務のみではなく、人事、製品設計、海外事業、品質管理、コンプライアンス対策、M&A関連業務、その他種々雑多な情報収集業務などの多岐にわたる、④多忙である、という特徴が明らかになりました。また、①日常業務に追われ、付加価値の高い創造的な仕事が出来ない、②部門間の調整作業に終始している、③ライン部門、他のスタッフ部門との連携に問題がある、④経営企画人材が育たない、⑤そもそも経営企画部門はどのような機能を担うべきかがわからない、などという悩みも少なくないことがわかりました。さらに、一定の業務パターンを有する経営企画部門を有する企業の業績が高いことが明らかとなったのです。それは、ハーバード大学のキャプラン教授(バランス・スコアカードや活動基準原価計算ABCの提唱者として知られています)がその必要性を強調している「戦略オフィス」として経営企画部門が業務を担当している企業です。 

 以上の報告に引き続き、パネル討議では、経営企画部門の発展経緯、調査結果も踏まえながら、経営企画部門長および、多数の企業の実態に詳しいコンサルティング会社から示唆に富むご発言を伺う予定にしています。 

 経営企画部門に所属している人々のみならず、組織設計に関心をもたれている方々、自社の業績向上のための方策検討に携わっている方々など、多くの皆様のご参加を期待しております。なお、今回のワークショップは、加登豊研究室と日本能率コンサルティングが企画運営している「強い経営企画づくりフォーラム」の第二回としても実施するものです。

第59回ワークショップは、「『"強い"経営企画部門』の作り方」というテーマで2007年9月16日に開催されました。今回は、株式会社日本能率協会コンサルティングとの共同企画として実施し、経営企画や戦略スタッフ部門の強化を目指す企業のあり方について活発な討論が行われました。まず、冒頭において、当研究科の加登豊教授によって現代の日本企業が抱える問題の1つとして経営企画部門が取り上げられ、同部門の現状と課題について問題提起がなされました。そして、株式会社日本能率協会コンサルティングおよびソニー株式会社からパネリストをお招きし、経営企画部門のあり方について実務家とコンサルタントの双方の立場から様々な意見が交換されました。またコーヒーブレイク中には簡単なアンケートを実施し、参加者の皆様の企業における経営企画部門の診断を行うなどの試みも行われるなど、非常に充実したワークショップとなりました。当日は,会員・非会員を問わず多数の方々にご参加いただきまして誠にありがとうございました。ワークショップの概要につきましては『ビジネス・インサイト』第60号に掲載する予定です。同誌掲載の論文とともに皆様のこの分野におけるご理解が一層深まる契機となりますよう願っております。

プログラム

問題提起 加登 豊(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

報告(1)「わが国経営企画部門の実態−神戸大学調査結果から」
加登 豊(神戸大学大学院経営学研究科 教授)

報告(2)「欧米における経営企画部門の動向−アメリカとイタリア」
大浦 啓輔(神戸大学COE研究員)
新井 康平(神戸大学大学院経営学研究科 博士課程)

報告(3)「経営企画部門強化の取り組み」
金子 恭久(日本能率協会コンサルティング)

コーヒーブレイク

パネル討議「強い経営企画部門を作る」
〈司会〉加登 豊
〈パネラー〉
伊藤 裕氏(ソニー株式会社経営企画部門 部門長)
富永 峰郎(日本能率協会コンサルティング)